新しいしみ抜き剤
2022.11.09
当店で実際に使用中の自作の染み抜き剤を販売中です。
染み抜きで一番大変なのは古くなったたんぱく質汚れです。
例えば尿、血液、便、卵、スープ、等々です。
たんぱく質は古くなると固まりますが、付いた直後でも熱が掛かると固まってしまいます。
こうなると固まりを分解して水に溶ける状態にする必要があります。
この役割をしてくれるのが蛋白分解酵素です。
江戸時代の着物の染み抜き職人さんは、酵素が高価で手に入らなかったので「ウグイスの糞」を使ったそうです。
私の親の世代は「胃腸薬」を使用したようです。
「ウグイスの糞」や「胃腸薬」には分解酵素が含まれているようです。
私の修業時代はドイツ製の粉末酵素を使用しました。100グラムで1万円程もした貴重品でした。
これを水で溶かしてシミに塗って、塗った部分をサランラップで包んで暖かいボイラー室で一晩置いておきます。
酵素が反応するには35℃くらいの熱が必要だからです。
一度で取れない時はこれを何回も繰り返すわけです。
着物の染み抜き料金が高いのは、こういった時間が掛かって面倒な技術が必要で、品物やシミの種類に応じて薬品を使い分けなくてはならないからです。失敗を繰り返しながらの大変な経験が必要だったわけです。
当店で発売中の染み抜き剤は、20年以上前に遠路はるばる通って師事した福岡の私の先生に教えて頂いた染み抜き剤です。
今でも自分で作って実際の毎日の仕事に使っています。
主成分は液体酵素ですが、その中に活性剤を混ぜてあります。
今でこそ液体酵素は業務用で自由に手に入りますが、昔だったらこの一本で一万円くらいの価値があったでしょう。
使い方は簡単です。汗、血液、尿、便、その他たんぱく質と思われるシミが付いたら塗って置いておくだけです。
塗った直後から酵素がシミを分解していきます。
しばらく置いてから他の洗濯物と一緒に洗ってください。一度で取れなかったら洗う前にもう一度塗って放置してください。少し古いシミの場合は塗って手で揉んでも効果があります。
例えば新品の下着の時からこれを使用しますとシミが残ることはありませんし、長く着用して何度洗濯しても真っ白です。
ワイシャツのエリ汚れにも塗ってみてください。もう手放せなくなりますよ。
試しに使ってみたいと思われたら、店頭で声を掛けてください。業務用を即ほぼ原価でお分けします。
写真の大きめの容器の染み抜き剤はアメリカ製の油性の染み抜き剤です。
ボールペンのシミなどは一発できれいに抜けます。
輸入品で多少高価ですが、希望のお客さんが多ければ販売も考えています。
油性の染み抜き剤としては性能世界一でしょう。
一部見えている染み抜き機はアメリカ・シセル社の蒸気シム抜き機です。(飯田下伊那では当店のみ)
世界中のクリーニング店で一番信頼されて愛用されている染み抜き機です。
機械と薬品は自分で使用してみて選んだ最高級のものでないと良い仕事はできません。